鳥籠
目を合わせただけで、想いのひとかけらを伝える。
それがどんなに難しいかなんて、あたしは知ってたはずだ。
それに失敗したからといって、がっかりする必要もない。

ただ単に、その視線がそれた。
それだけ。

アキヒロの気持ちなんかわからないし、聞くことも出来ない。
あたしが彼を想ってる、なんてことも、はっきり伝える勇気はない。

まだ、あたしの一方的な気持ち。

焦ったってしょうがない。
ゆっくり、向かい合っていけば、それで良いよ。

そうやって、安っぽい恋愛相談のようなアドバイスを自分にしてあげることも出来る。

でも、それをあたし自身が受け入れない。

望んでるのは、たった一つ。
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