鳥籠
まっすぐ、見つめて下さい。
それだけ。

立ち止まって、空を見上げる。
夕方の香りがする。
それでも、まだ青い空。

目を見開き、その空を見つめる。
瞳が乾く。
痛む目を、涙が覆うようにあふれ出す。

これだけ見つめても、空は何も返してくれない。
ただ、そこにある。
空が向こうから近付いて来ることは、決して、ない。

羽ばたいて向かっていくしか方法はない。
それなのに、この腕にも背中にも、翼はおろか、一本の羽さえ生えていない。

遮る物はなにもないのに。
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