鳥籠
こんな、あっけない答え、なの?
正しいかどうか、今のあたしに確かめる術はないけれど。

「水、ザルに入れるとどうなる?」
「全部、抜ける…」

どれだけ努力したって、ザルはザルだ。
流し込んだ水はすべて、虚しく流れ出していってしまう他にない。
ザルは、水の流れをほんの少し乱すだけ。

「だろ? 同じだよ。光にとっては、ガラスなんか全然穴だらけ」

ガラスの隙間を通り抜けるのは、どんな気分だろう。
光は、何かしがみつきたいと思うのだろうか。
すり抜けるか、遮られるか、どちらかだけの運命しか持たない光。

「じゃあ、遮られた光は? どうなるの?」

そこに溜まってはいない。
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