鳥籠
「反射するか…消えちまうかな。
 俺も科学得意じゃねぇからな…わかんねぇけど」

消えてしまうのだろうか。

既に夕日は姿を隠して、濃紺の空が降りてきている。
コップで揺れていた夕日も、蛍光灯の冷たい光に取って代わられた。

アキヒロの意識も、もう、テレビ。

窓から外を覗くと、夕日の残滓はほんの僅か、町の縁にだけ取り残されていた。
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