鳥籠
好かれているなら、とにかく気持ちを伝えればいい。
あたしの心はとりあえず満たされる。

嫌われているとわかっていれば、この気持ちはしまっておくものなのだ、と決心が出来る。
辛くても、悲しくても、彼への想いだけは詰め込んでおける。

でも。
こんなに彼の近くにいても、わからない。
嫌われてはいないだろう。
部屋に出入りすることを許してくれているのだから。
だけど、あたしに何も求めてくれない。
体なんかは勿論欲しがられないし、料理だの掃除だの、そんな如何にオトコが喜びそうなことも求められない。
それどころか、おつかいの一つすら求められない。

これじゃ、友達以下じゃない？

好かれているなんて、とても思えない。
関心がないとしか思えない。
< 98 / 140 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop