他校の君。【完】



恐る恐る、一臣君を見つめると、


「だよな。焦る訳ないよな」


焦ってくれた方が嬉しいんだけど、と普通に笑ってる。


「………っ」

(ま、また…?)


また、思わせぶりな発言?


「あたしが焦ったら嬉しいんじゃなくて、困るんじゃないかなぁ?」

「ははっ」

「ほら、やっぱり」


あたしの疑問に一臣君が笑ったから、それはどうやら肯定で。


「それであたしが一臣君の事、その…す、」


好きになったらどうするの?とまでは恥ずかしくて言えない。


「好きになったら?」


言いたい事を察してくれたらしい一臣君は、少しだけ考えるように視線を斜め上に向けた後、


「じゃあ、付き合う?俺、彼女にはエロいけど」


とあたしを真っ直ぐに見つめながら首を傾げた。


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