他校の君。【完】
ー…
………
Side 香澄
「教えてくれて、ありがとう」
図書館の前、ペコリと頭を下げてお礼を言うと、一臣君は別にいい、って言ってくれた。
「今度お礼させてね?」
お礼を口実にまた会いたいって思っちゃうあたしは、かなりずるいかもしれない。
けれど、
「だから、いいって」
「そ、そっか」
一臣君にあっさりと遠慮されてしまった。
残念だなぁ。
「香澄ってテストの準備期間中、ずっと勉強すんの?」
「ううん?休みの日とかは…」
ダラダラしたりゴロゴロしたり遊びに行ったり、って正直に言ったら呆れられちゃうかなぁ。
でも、一日中勉強するのはしんどいし…。
「じゃあ、次の土曜って」
「うん?」
一臣君を見上げると、少しだけ視線を逸らされた。
「???」
次の土曜日がどうしたんだろう?
「気分転換に遊ばねぇ?」
「……え」