他校の君。【完】
「???」
チラリと見られた、と思ったら、何故かジィーッと観察するように見下ろされて、あたしはつい、首を傾げてしまう。
そして心がまたトクトクと音をたてはじめる。
(一臣君に見られてる…)
そう意識してしまうだけで、どうにかなってしまいそう。
「あんた、どっかで……って、やっぱいい」
「……へ?」
何かを言おうとした一臣君が何故か途中で言うのを止めてしまった。
そして、フイッとあたしから視線を外して歩き始める。
「???」
な、何だろう。
何を言おうとしてたのか、全く分からない。
首をさらに傾げてしまうと、歩いていた一臣君がピタリと止まって、あたしを振り返り、
「帰んねぇーの?」
って不思議そうに聞くから、
「か、帰ります」
あたしは慌てて一臣君の後を追った。