他校の君。【完】



Side 一臣


(何、口走ってんだよ俺は)


打ち上がる花火の方に無理矢理香澄を向かせ、俺は自分の顔が見られないよう香澄の背後に立っている。


『好きだから』


花火の一発目と被ってしまったその声に自分で驚いてしまう。

無意識に出た言葉。

けど、分かってしまった。

俺は香澄が好きなのかと。

さっき思った『海谷に嫉妬してるみたい』。

あれは『みたい』じゃなくて、確実に嫉妬してたって事だよな。

香澄をからかいたいのも、好きだからか?

だったら俺って小学生みたいだろ。

イジメて気を引きたいみたいな。

無理矢理夜空を見上げさせていた手を離すと、香澄は俺の行動に不思議そうにしながらも、一応花火を見ている。

さっきの言葉が香澄に聞こえてなくてよかったと少しだけホッとする。

…聞こえてたら、フられてたかもしんねーから。

香澄って、そういうのにうとそうで、俺の事を恋愛対象として見てなさそうだしな…。


今告るよりも、少しぐらい恋愛対象として見てもらってから告った方がいいよな。

可能性を少しだけでも増やしとかないと。


(…けど、)

ちんたらしてると、

あいつに先を越されるかもしれない。


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