他校の君。【完】
学園祭のお誘い
ー…
………
「じゃあ、学園祭の出し物はお好み焼き屋でいい?」
「うぇーい」
「じゃあ、決定」
一臣君と行った花火が終わり、テストも終わった頃、学校は次のイベントに向かって盛り上がり始めていた。
うちの学校は一学期に学園祭が行われる。
クラスの出しものが決まって、自由時間になったあたしは自分の席で頬杖を着きながら溜め息を吐いてしまった。
花火を一緒に見たちょっと前から一臣君が変だった。
花火を見終わった後の帰る時なんか、やたら真剣な表情で何かを考えてるみたいだったし。
「どうしたの?香澄」
みっちゃんに不思議そうに聞かれて、一臣君の話をすると、
「それ、一臣君は本気で言ってたんじゃないの?」
なんて言われた。
…そんな筈ないよ。
だって、一臣君には、
「好きな人いるんだもん」
だから、絶対違うよ。
「えー?そうかなぁ?試しに告白してみたら?」
「た、試しって、みっちゃん!」
そんな簡単に告白出来ないよ。
しかも『試しに』って。
絶対無理。
「でも、言わなきゃ伝わらないんじゃない?そう言うの」
「…そうかもしれないけど」
「あのね?香澄が悩んでる間に、頑張ってる子がいるかもしれないよ?」
「……え?」
「一臣君、絶対モテるタイプでしょ?香澄が勇気出せてない間に勇気出してる子がいるかもしれないし、一臣君は付き合っちゃうかもしれないんだよ?悩むだけじゃ始まらないんだよ?」
みっちゃんにそう言われて、あたしは俯いてしまう。
「クラスどころか学校も違うんだから、香澄は人一倍頑張って動かないとダメなんじゃない?廊下ですれ違うとか、そう言う偶然すらないんだから」
「そ、そっか」
そうだよね。
自分で頑張らないと、会う事すらままならないんだもんね。
ー…でも、
「フられるの、怖いよ」