他校の君。【完】
改札を出てからふと思う。
確かにあたし寝ちゃってた。
けど、一臣君はあたしもこの駅だって知ってる口ぶりだった。
それって、もしかして、
(あたしの事、覚えてくれてたとか?)
ー…だったら嬉しいかもしれない、
なんて胸をときめかせていたら、
「そう言えば、駅ここでよかったのか?何か知らねぇけど勝手にここだと思い込んでて」
よくよく考えたら、どの駅か聞いてない、とあたしの思考を呼んだかのようなタイミングで言われしまった。
(…な、)
何だ。
別に覚えてくれてた訳じゃないんだ?
「………」
一人で勝手に喜んじゃったよ…。
今の気持ちを擬音語で現すなら、間違いなく『ガーン』って言葉が、ちょうど自分にあう気がする。
「おい。聞いてんの?」
「え?はい。聞いてます」
勝手に喜んで勝手にショックを受けていると、一臣君に訝し気な視線を向けられてしまった。