他校の君。【完】



お好み焼きは当日に作るものだから、他のクラスとは違い、下準備はそんなにいらない。

それにあたしのする事は前日の放課後にキャベツを切るって事ぐらいで焼く必要は無い。

部活の方は、射的と言う事になった。

おもちゃの弓で的を狙うんだって。

生徒会から出る学園祭の予算を使って用意された景品の中にあたしが好きなうさぎのぬいぐるみがあった。

当日参加しようって密かに決めていたら、先輩達に見抜かれちゃって、

『うちの弓道部は当てる可能性が高いからダメ。店番だけ』

って言われちゃった。

残念だなぁ。

遊園地に行った時に一臣君に貰ったうさぎはちゃんと自分の部屋に飾ってあって、その隣にあたしが取ったうさぎも飾ってある。

その隣にもう一セット、欲しかったなぁ。


店番は弓道部で一時間交代であたしはみっちゃんと店番をする事になる。

しかも一番目だから、それさえ終われば学園祭は自由。


「香澄、ミスコン出ない?」


部活中に学園祭の事を考えていたら、みっちゃんに突然そんな事を言われた。


「え、ミスコン?」

「うん、ミスコン」


笑顔で頷くみっちゃんにあたしは全力で左右に首を振る。


む、無理だよ。

あたしがミスコンなんて。

一瞬で撃沈だよ。

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