他校の君。【完】
残念に思いながら、一人溜め息を吐いてから俯く。
もう、いいや。
会えないんなら寝ちゃおう。
でも気を付けなきゃね。
前みたいに爆睡なんて事にならないように。
意識を少しだけ手離そうとしていると、
「…香澄?」
「………へ?」
呼ばれた名前。
俯いていた顔をゆっくりと上げると、
「何だ。また爆睡してんのかと思った」
凄く会いたかった一臣君が苦笑していた。
「…一臣君?」
「久しぶり」
「う…ん。久しぶり」
『久しぶり』
そう言われただけなのに、あたしの心臓が音を立て始める。
(うわ、久しぶりの一臣君だ)
どうしよう。
照れちゃう。
カァッと頬が熱を帯びそうになったのを我慢……出来る筈も無く、ごまかすように俯くと、
「隣いい?」
一臣君の声が降って来た。
その声に内心大喜びしつつ、表に出す訳には行かなくて、あたしはコクコクと頷く。
すると、一臣君があたしの隣にストンっと座った。
(本当どうしよう)
また意識しちゃって息の仕方を忘れそう。