他校の君。【完】



Side 一臣


あー、無理。

意識し過ぎかもしんねー。

顔、すげぇ熱い。


「香澄、暇な日無い?」


こんな言葉を言うのでさえ、勇気いるって何だよ。

俺の耳が赤いのバレてたりしねーかな。

熱いから絶対色変わってるよな。

ってか、香澄の方見れねー。

香澄の返事を待っていると、香澄に見つめられてる気配がする。

俺がこんな事聞いたから驚いてるんだろうと察しは付く。

ここで気のきいた言葉でも言えればいいんだけど、


「…やっぱ、得意じゃねぇな。こう言うの」


言えやしない。

気持ちに気付く前なんか香澄をからかってたっつーのに。


「???」

「………」


不思議そうに首を傾げる香澄と俺との間に流れる無音の時間。

その時間がどうしようもなく、気恥ずかしい。


「…会いたい、って言ったら迷惑?」


無音の時間に耐え切れなくなった俺は、ついそんな事を言ってしまう。

何、口走ってんだ俺は。

ストレートに言い過ぎだろ。

これじゃあ、バレるだろ。

…いや、バレたな。

完全に。

そう確信しながら、香澄の様子を確認すると、香澄はどこか恥ずかしそうにしている。


「一臣君、本当そう言う思わせぶりな事言うよね」

「……は?」

「勘違いしちゃいそうになる。…からかわれてるって分かってなかったら」

「………」


いや、別にからかってねーんだけど、今の。

つい口走ったとは言え、言葉は本気だった。


「一臣君のいじわる」

「………」





何でバレねーんだよ。


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