他校の君。【完】



「香澄は土日暇って事?」


自分の勘違いに恥ずかしくなっていると、笑いがおさまったらしい一臣君に聞かれて、あたしはちょっとだけ首を傾ける。

暇じゃないと言えば暇じゃないけど…、

一応暇って言うのかな?


「あのね?学園祭が土日にあって」

「学園祭?」

「うん」

「香澄んとこ、学園祭早いんだな」

「うん。早いの。でね?当番って一日目の一番始めの一時間しか無いから、後は自由なの」

「それって、行ったら案内してくれるって事?」

「も、もちろん」


こくこくとあたしは頷く。

案内、下手だと思うけど頑張るよ?

それに一臣君と学園祭を一緒に周れたらいいなって思う。

学校が違うから、学園祭とか、何かの大きなイベントが無い限り、同じ校内にいる事なんて出来ない。

だからそれが出来て、さらには好きな人と学園祭を周れるなら、


「じゃあ、行く」

「うん!」


この上なく嬉しい事だよね。

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