他校の君。【完】
「…へぇ、負けねー、か」
雪は一臣君の言葉をそのまま繰り返した後、あたしの肩に乗せていた腕を離した。
体重をかけられない事にホッと溜め息を吐く。
ー…それにしても、本当何でこんなに空気が…
「キャッ」
悪いんだろう、なんて思っていたら離れた筈の雪の腕がまた背後からあたしのお腹に周り、肩に顎を乗せられる。
「ゆ、雪?」
スキンシップ激しくない?
驚いて雪の方に向くと、
「………!!」
雪が珍しく、もの凄く悪そうな表情を浮かべていた。
「…海谷、離れろよ」
そんな雪に一臣君が冷たい声を出す。
「なんで?」
「………」
雪が聞き返しても一臣君は返事をしないで今度は強く雪を睨みつけた。
雪の顔があたしの肩にあるからか、あたしまで睨まれてるような気分になる。
「何でもいいだろ」
そうこうしてるうちに、雪を睨みつけたままの一臣君の腕が伸びて来て、あたしの腕を掴んだ。
「………へ」
驚いてる間にぐいっと引っ張られたけれど、雪にがっちりホールドされてる。