他校の君。【完】
「好きなんだ」
あたしが勝手に聞き間違えにした言葉を一臣君がもう一度言ってくれる。
その言葉に、
「おい、香澄!?」
ガクリと腰を抜かしてしまったあたし。
一臣君が手を伸ばしてくれるけど、
だ、だめ。
立てない。
何かがくがくする。
そんなあたしに視線を合わせるようにしゃがんだ一臣君は、
「告白で腰抜かされるとは思わなかった」
と苦笑する。
「だ、だって、す、好きって。一臣君が好きって…」
言うから。
「うん。好き」
「……!!」
クラリと目眩がする。
何これ。
何だろう。
この状況。
「香澄は俺の事、嫌い?」
「…嫌い…じゃ…ないよ」
好きだよ?凄く。
「じゃあ、俺の彼女になって。今すぐ好きになってくれとは言わねーから」
いい?と聞かれて、あたしは一臣君こそいいのかと思いながらもぎこちなく頷く。
すると、笑顔になった一臣君に抱き寄せられた。
「フられたらどうしようかと思った」
あたしをギュッと抱きしめてくれる一臣君がホッとしたような声を出す。
その声にまたドキリと心臓が大きく音を立てる。
どうやらあたしの心臓は止まっていなかったらしい。