他校の君。【完】
あたしが勝手に想像してた一臣君は、物腰が柔らかくて優しい人で女の子への気遣いとか凄く良さそうな人、だった。
けれど、実際に話してみたら一臣君は…
言葉遣いがちょっと乱暴で、あたしを見下ろす瞳はどこか意地悪そうで。
でも、寝ていたあたしを起こしてくれた優しさは想像通りで。
まあ、本当にちょっとしか話してないから、一臣君が実際どんな人なのかって言うのは、今のあたしに分かりっこないんだけど。
けど、例えちょっとしか話して無かったとしても、想像してた一臣君とやっぱり違う。
まあ、あたしの勝手な想像だから違って当然なんだけれど。
想像通りだったら、かなり驚いてたかもしれない。
…今も充分驚いてるけど。
「あんた何年?」
「え?い、一年です」
想像していた優しい一臣君の事をボーッと考えていたら学年を聞かれて、我に返ったあたしは慌てて答えた。
「一年?だったら同い年だろ。敬語は必要ないんじゃねぇの?」
「や、でも」
一応あたしと一臣君はほぼ初対面と変わらない。
だから、いきなりは…
「俺がいいって言ってるんだから、素直にうんって言えよ」
「………」