他校の君。【完】



ー…
………

「はよ」

「おはよ、一お…」


次の日。

学校に着いた俺を見た翔が途中で言葉を止めた。

誰だよカズオって。


「何だよ」


どうしたのかと、眉を寄せると、


「武!一臣に彼女出来た!」


言ってねーのに翔に一瞬で見抜かれた。

教室の端からは『何だとー!?』とか言う武の声が飛んでくる。


「翔、何で分かったんだよ」


人の心をよみすぎな翔にそう聞くと、


「それだけニヤついてれば俺じゃなくても分かる」


と返されてしまう。

ニヤつかないようにしてたつもりなんだけど、どうやら無理だったらしい。


「幸せ全開だね」

「…まあ、」


(幸せっちゃー、幸せなんだけど)


ただ喜んでる訳には行かねーんだよな。

何故ならもう既に香澄が心配だったりするから。

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