他校の君。【完】
「香澄!よそ見してると怪我するから、ちゃんと手元見とけ」
「……え」
ボケーッとしながら先生を見ていたから、自分の手を見てなかったあたし。
雪のそんな声が聞こえたと思ったら、
パリーン!!
試験管を木で出来た試験管立てにぶつけて割ってしまった。
(わわ、やっちゃった)
机の上の砕けた試験管を慌てて片付けようと手を伸ばすと、
「素手で触ろうとすんな!」
雪があたしの手を引っ込めさせようとした。
…けれど、
「………っ」
時すでに遅し。
あたしの指先からは、プクリとした赤い血。
ガラスを素手で触ろうとして、まさかのお決まりな怪我をしたあたしに、雪が一度溜め息を吐いてから、
「先生、保健室行って来ます。蜜華、悪い後頼む」
先生とみっちゃんにそう告げてから、あたしの腕を引っ張り歩き出した。