他校の君。【完】
ー…
………
廊下を歩く雪の後ろを手を引っ張られたままついて行く。
「香澄の手、せっかく綺麗なのに、怪我なんて」
「綺麗じゃないよ?」
部活で弓をよく触るから、その痕とかあるし。
「綺麗だよ。ってか何考えてボーッとしてたんだよ」
「……え」
何考えてって、もちろんそれは一臣君の事で。
(って、一臣君の話をしたら雪ってば不機嫌になるかも)
でも、隠したい訳じゃないし。
「……か」
「……か?」
彼氏の事。
なんて恥ずかしすぎて言えない。
だって、彼氏だよ、彼氏。
あたしにとって、初めての彼氏で凄く好きな人。
昨日の夜に付き合ったばっかりだから、実感がわいている、とはまだまだ言えないけど、
さっきも思ったみたいに、あたし、ふわふわしてる。
ポケーッとしちゃうの。