他校の君。【完】
ー…
………
カタン、カタン
と揺れる帰りの電車。
あの後、教室に戻って来た雪は
『後夜祭の時に話がある』
あたしの所に歩いて来てそう言った。
話なら今ここじゃダメなのかなぁ。
不思議に思いながらも頷くと、雪がどこかホッとしたような表情を浮かべた。
何か雪の様子、最近変じゃないかな?
怪我した指を眺めながら、雪の事を思い浮かべていると、
「…怪我したのか」
あたしのすぐ近くからそんな声が聞こえて、あたしはびっくりしてしまう。
思わずビクリとしてしまって振り向くと、
「……っ、一臣君!」
一臣君が立っていて、名前を呼んだあたしの手の方に手を伸ばして触れた。