他校の君。【完】
当たり前のように触れるその手に心臓が大きな音を立てる。
「何した訳?」
「化学の授業中に試験管割っちゃって…」
「他に怪我は?」
あたしの指をジーッと見つめる一臣君に恥ずかしくなる。
「無いよ?」
「なら、よかった」
優しく笑ってくれて、今度はきゅんと心臓が締め付けられた。
あー、本当格好いい…。
こんな近くで見惚れちゃいそう…。
この人があたしの彼氏なんだよね?
(わわっ)
なんかニヤけちゃいそう。
自分の表情が緩んでしまないように、平常心を保とうとすると、
「…真っ赤だな」
ははっ、と一臣君が笑った。