他校の君。【完】



「あのね、今度の学園祭でね」

「うん」

「部活の出しもので射的するの」

「うん」


その射的で、あたしの好きなうさぎが景品になってるんだよ?と、つい興奮してしまうと一臣君がどこか楽しそうに笑う。


「で、部活の出しものに香澄が出てそのぬいぐるみをもらうとか?」

「…そうしたいのはやまやまだけど」


ダメって言われたちゃったしなぁ。


「あたしは参加できないよ」


残念だけど。


「じゃあ、俺が参加して取ればいい」

「え?」

「俺、学校違うし一般客として参加できんじゃねーの?」

「あ、そっか」


それなら…ってやっぱりダメ。

だって、なんか


「一臣君に悪いし」

「どこが」

「え?えーと」


あたしが欲しいのにお願いする事とか?


「あのさぁ」

「うん?」

「昨日の今日で言うのもあれかもしんねーけど」

「うん」

「香澄は俺の彼女だろ」

「………っ」


一臣君の唇からそんな言葉が出てきて、ぼっとまた顔が熱を帯びる。

さっきから赤くなって、戻って、赤くなって、戻って、また赤くなって。

血行良くなるかな。これ。

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