他校の君。【完】
言葉が途中までしか出なかったけれど、一臣君はギュッと手を握り返してくれる。
(う、嬉しい…)
繋ぎたいって最後まで言えなくても繋いでくれるんだ?
「香澄の手って小さいな」
一人、心の中で喜ぶあたしの手をマジマジと見つめた一臣君が繋いでない方の手を上げて、あたしに手の平を見せる。
「???」
なんだろう?
手相を見ろ、とかかなぁ?
首を傾げると、
「香澄、手、ここまで上げて」
一臣君に言われて、あたしはおずおずと一臣君の手に自分の手を近付ける。