他校の君。【完】
彼のもの
ー…
………
「香澄はどれがいい?」
一臣君に聞かれて、あたしは『うーん』と考える。
チョコもいいし、抹茶もいいし、ハムチーズサラダだって食べたい。
あ、苺もいいなぁ。
「うーん…」
甘くて、いい香りがする屋台の前。
たくさん種類のあるクレープにあたしはさらに首を傾ける。
あれもこれも美味しそうで全部食べたい。
でも入らない。
「どれで悩んでんの?」
「生チョコホイップか苺か抹茶ずんだ餅。あ、でもでも甘いのじゃなくてサラダも…」
「じゃあ甘いの一個な?」
「う?うん」
一臣君に言われてあたしはメニュー表をジーッと見つめる。
「じゃ、じゃあ…苺…じゃなくて生チョコホイップ」
「ん。じゃあ生チョコホイップとハムチーズサラダください」
やっと決めたあたしに頷いた一臣君は屋台の人に注文してくれる。
注文したクレープが出来るのを待ちながら一臣君に
「一臣君はサラダ?」
聞いてみると、
「サラダも食べたいんだろ?」
頭をグイグイと撫でられた。
「や、た、食べたいけど」
「二個も食べらんねーなら分ければいいだろ」
「……いいの?」
「いい」
「……っ、あり…がとう」