他校の君。【完】
ー…
………
自分の部屋の赤いチェックのベッドにボフッと倒れ込んだ後、近くの抱きまくらを掴んで引き寄せた。
『やっぱいい。じゃあな』
駅の外でそう言って帰って行った一臣君を思い出したあたしは、一臣君が本当は何を言おうとしていたのか気になった。
けれど、あたしに分かる筈もない。
はぁと溜め息を一度吐いてから、あたしはまた一臣君の事を考える。
近くで見た一臣君はやっぱり格好良かった。
また、話せたりしないかなぁ。
(って、無理だよね)
今日は多分運が良かっただけ。
また溜め息を吐きながら、あたしは抱きまくらにさらに強く抱き着いた。