他校の君。【完】


ふ、と笑った一臣君にキョトンとしてしまう。

…けれど、


「……。………。…………。……、……っ!!」


一臣君の言った意味にかなり遅れてからやっと気付く。

さっき息が出来ないと思ったのは多分、一臣君の指があたしの唇に触れたから。

そしてよくよく思い返してみれば、一臣君との距離が縮まった時に、


(ふ、触れた…)


気がする。

あたしの唇のすぐ隣だったけれど、


(か、一臣君のく、くち…)


唇が、ふ、ふふ…


(触れ…)


完全に理解した途端に視界がクラリと揺れた。

そんなあたしの反応に、一臣君は凄く愉しそうに笑いながら、


「次はちゃんと唇な?」


そう言って首を傾げた。



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