他校の君。【完】
彼女 ~Side 一臣~
Side 一臣
『ちょっ!みっちゃん!』
部活が終わって、帰りの電車に乗っていると少し離れた座席から聞こえて来た、そんな声。
どこか照れたような焦ったようなその声の持ち主に何気なく視線を移したら、からかわれているらしい女子がいた。
真っ赤になってあわあわとしているその女子は俺の視線に気付いたのか、チラリと俺の方を向いた。
バチリと正面からぶつかった視線。
騒いだのを見られたのが恥ずかしかったからか、彼女はさらに顔を赤くした。
サラサラしてそうな少しだけ長い髪に、恥ずかし気な光を浮かべる大きな瞳。
色白な頬もやっぱり今は赤く染まっている。
(一体何でからかわれてんだか)
からかわれてる彼女の反応が可愛く見えて、思わず笑ってしまうと、
「一臣?どうした?」
タケ
一応親友である武に不思議そうに聞かれてしまった。
「別に?」
他のヤツを見てつい笑ってしまったとは言えず、別に何でもねぇよ、と視線を武の方に戻した。