他校の君。【完】
Side 一臣
ー…タンッ!
と音を立てて的に矢が刺さった。
ど真ん中の少し右。
心の中でよし、と思いつつ、よしとは思ってない別の事をふと思い出してしまう。
「………」
「どうした?一臣」
的に当たってるにも関わらず落ち込んだ俺を見た部長が訝しげに眉をしかめた。
「何でもないです」
「何でもなさそうには見えねーけど」
だろうな。
けど、部長に理由は言えない。
何故なら理由が理由だからだ。
それは俺の彼女である香澄の事で。
(手が出せない)
俺はこんな事で若干悩んでいる。
だから、言えない。