他校の君。【完】



「男として余裕を、とかも思ってねぇ?」

「………」


だからなんで分かるんだこの人。

返事をしなかったけど、俺の表情で肯定だと察したらしい部長は『あのな』と続ける。


「相手を大事にしたい気持ちは分かる。がっつけって言ってる訳でも無い。一臣がどうしたいのかを決めるのは一臣だからそれをどうって言う訳でもないけどな」

「はい」

「辛いぞ?」

「……は?」


辛い?


「相手に余裕を見せる為に、『俺は安全だ』みたいな事言ったら後で大変な事になるからな」

「……。みちる先輩と何かあったんですか」

「そこは聞くな」


ここまで言っといて聞くなかよ。


「とにかく、我慢して余裕なフリするのは後々辛いって事。なんとなくでいいから覚えとけ」

「はい、わかりました」


なんかよく分かんねーけど、部長に言われた通りなんとなく覚えておく事にした。


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