他校の君。【完】
ー…
………
「じゃあ明日、着いたら電話する」
「うん」
学校が終わって電車に乗っていたら、一臣君もちょうど電車に乗って来た。
学校帰りに会えるのが嬉しくて、ついニコニコとしてしまう。
そんなあたしの近くで
「いいよな、一臣は」
武君がブスリと膨れた。
「羨ましいならお前も告れば?本命に」
「………。本命って言ったら何か別にもいるみたいに聞こえるからやめろ」
「…は?でも最初、香澄に」
「あああああ、聞こえません。」
あれは憧れであって、ちょっと期待したりもしたけど違うし、一臣を応援してるし、
と両耳に手を当てて話す武君にあたしは首を傾げる。
その近くでは翔君が武君を見て苦笑いしている。
三人とも本当仲がいい。
「三人とも同じクラスなんだっけ?」
前にそう聞いた気がする。
「そう。で、部活一緒だし、苗字も似てるから掃除とかも一緒」
「仲良しさんだね?じゃあ一日一緒なんだ?」
一臣君と一日一緒なんて、一度でいいから体験してみたい。
「まあ、大体そうかもな。休み時間は一緒じゃねーけど」
「一緒じゃないの?」
あたしはみっちゃんとよくいるけどなぁ。
「翔は委員長といるし、武は毎回便所行ってるし」
「毎回も行かねーよ!」
「じゃあどこ行ってんだよ」
「秘密だ!」
「へぇ?まあ、いいけど」
どうでもいい、と言う表情を浮かべた一臣君に武君がちょっと寂しそうになった。
「少しは俺に興味持って」
って。