他校の君。【完】
ー…
………
起きた彼女を促して電車を降りる。
帰りますを『帰るます』とか言って噛んだり、恥ずかしそうに俺をチラチラみたりする彼女は、
全く男に慣れてない感じでちょっと抜けてる感じ。
じゃあお前は女に慣れてんの?って聞かれたら、俺だって慣れてねぇけど。
ってか、
(何かどっかで見たことあるような…)
無いような。
記憶を辿りながら、どっかで会った事ある?って聞こうとしたけれど、すぐに止めた。
なんかナンパの誘い文句っぽいし。
どっかで会ってても今、気にする必要ないしな。
隣を歩く彼女を眺めていたらふと、また耳に蘇った武の言葉。
『声かけろよ』
これは、ある意味声をかけた事になるのか?
で、仲良くなったら紹介するんだっけ?
彼女をさらに眺めながら、考えていると、
「???」
首を傾げられた。
そんな彼女に武の頼みだから仕方ないと溜め息を吐きながら、
『友達になんねぇ?』
言おうとしてやっぱり止めた。
俺はこう言うの、やっぱり向いてない。
友達になりたきゃ武が自力でなれ。