他校の君。【完】
じゃあ、後で。
と雪に言われたあたしは、コクンと頷いてから、離れて行く雪の背中をなんとなく眺めた。
友達の所に辿り着いた雪は、何かを言われたらしく、『やめろよ』みたいな感じで相手をバシリと叩いてから笑う。
変だな、って思ったのはやっぱり気のせい?
「みっちゃん、あのね?ゆ…」
き、と続けようとしたけれど、あたしは続けるのを止めた。
だって、
「……みっちゃん?」
みっちゃんが雪がいる方向に視線を向けながら、寂しそうな、悲しそうな、
どこか切ないような、そんな表情を浮かべていたから。
「みっちゃん」
みっちゃんまでどうしちゃったの?
もう一度名前を呼ぶと、ビクリと小さく身体を震わせたみっちゃんが、慌てたように笑顔を浮かべた。
「な、何?香澄」
ニコニコと笑うみっちゃんに思わずあたしは手を伸ばす。
「みっちゃん、どうしたの?」
「え?どうもしないよ?」
どうもしない筈は無いよ。
だってみっちゃん、
「痛そうだよ?」
凄く痛そうに見える。