他校の君。【完】


「大丈夫。なんでもない……って、やっぱりある」


ある、と言ったみっちゃんは、驚くあたしの手を掴んで歩き出す。


「まだお昼じゃないのに、あまりにお腹空いちゃって。今凄くどうしたらいいのか分かんないの」

「え!?」


だから、さっき、あんな表情してたの?

お腹が空いてたから。

だから…。


(そ、そうだったんだ?)


何かあったのかと思っちゃった。


そんなあたしを見下ろしたみっちゃんは『あはは』と笑う。


「だからね?香澄」

「うん?」

「ヤキソバとたこ焼きと、タイヤキと玉せんと、焼きとうもろこし買いに行こう!あ、それと綿あめ!香澄は甘いもの好きだよね?」

「す、好きだけど、」


確かに甘いものは好きだけど。

でも。

絶対にそんなに食べれないよ、みっちゃん。


「他にも色々食べちゃおうね!」


よし行こう!と意気込んだみっちゃんに、


「ええぇー…」


あたしはちょっとだけたじたじになってしまった。


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