他校の君。【完】
今までを思い返して考えてみると、
「…………」
言われて見れば、
(…言ってないかも?)
ようやくその事を分かったあたしは、さらに照れてしまう。
だって、今まで言った事が無いと言う事は確かに一臣君の言う通り、今さっき言ったのが初めて。
(わわ…照れちゃう)
視線を逸らして今度は別の理由で俯くと、
「さて、ゆっくり帰るか」
あたしの手を握った一臣君が歩き始めた。
ー…もしかして、気を遣ってくれたのかな?
あたしが泣いちゃったから、それで落ち込み続けないように話題をわざといつもみたいにしてくれたとか?
「…ありがとう」
隣を歩く一臣君に小さくお礼を言ったら、
「後でまた好きって言って」
と、どこか照れたように言われた。