他校の君。【完】



そんな一臣君の隣に行くと、一臣君の手が伸びて来て、

いつものようにあたしの手を握る。

そして歩き出した一臣君をチラチラと見ながら、思う。

昨日の夜、好きって難しいって思った。

ー…けど、一臣君のおかげであたしは今いっぱいドキドキして、

悲しい思いをしちゃった事もあったけど、嬉しい思いもして。

楽しい思いもして。

難しいだけじゃない。

そんな好きをくれる一臣君に出会えて良かったと思う。

だから、


「一臣君」

「ん?」

「だ、大好き…です」

「………っ」


一臣君や雪がしてくれたように、

かなり照れちゃうけど、あたしも頑張って、たくさん想いを伝えて、



この想いを心から大切にしたいと思う。





「ちょっ、急に照れさせんな」

「これからもよろしくお願いいたします!」

「……当然」



かなり照れている一臣君を見上げながら、

あたしはゆっくりと笑顔を浮かべて一臣君の手をそっと握り返した。



       おわり



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