他校の君。【完】
それから数日。
頑張って声をかけようと思ったのに、近付くと心臓がドキドキし過ぎて、あたしはどうしたらいいのか分からなくなってしまう。
あたしが声をかけようとしている事を知らない一臣君は、
あたしに全く気付かずに、スタスタと歩いていってしまう。
ー…ああ、今朝もダメだった。
帰りは声、かけられるかなぁ。
(…ってあたし、)
ストーカーちっくになってない?
だ、大丈夫だよね?
後をつけてる訳じゃないからセーフだよね?
何がセーフかなんて分からないけれど、取り敢えずセーフと言う事にしておいて、あたしは帰りの電車に乗った。
乗った車両には部活帰りらしい一臣君。
今日こそは!
と意気込んで一臣君の方へ行こうとすると、車内にさ迷わせた一臣君の視線があたしの所でピタリと止まった。
(……へ?)
思わず視線が絡まってしまい、あたしの体温は急上昇。
そんなあたしのいる方向へ一臣君がスタスタと歩いて来た。
(……え?)
気のせい?
・・
あたしがいる方向とかじゃなくて、もしかしてあたしのいる所?