他校の君。【完】
どきまぎしながら、一臣君の行動を黙って見ていると、あたしのすぐ側まで来て止まった一臣君。
あたしをジッと見下ろしたと思ったら、一臣君が制服のポケットに手を突っ込んで、何かを取り出した。
「これ」
取り出した何かを差し出されて、あたしの頭の周りにはクエッションマークが浮かぶ。
な、何だろう?
「気付かなかったんだな?」
まあ、俺も同じ事したら気付かないと思うけど。
と言われて、
何か、初めて一臣君を意識した時みたい、なんて思いながら
一臣君の手に意識を向けると、そこには見覚えのある手帳。
(……あれ?)
これって、うちの学校の生徒手帳?
普段、鞄に入れっぱなしだけど、一応どんなのかは覚えてるあたしはマジマジと生徒手帳を凝視する。
「…あんたのだろ?高城香澄サン」
「……へ?」
あたし…の?
確認するように鞄に手を突っ込んでゴソゴソと自分の生徒手帳を探すも見つからない。
「あ、あれ?」
じゃあ一臣君が持ってるのって、やっぱりあたしの生徒手帳?
一臣君から受け取って、中身を確認すると、
「……!!」
やっぱりあたしの生徒手帳だった。