他校の君。【完】
「…なあ?」
「………?」
少しの沈黙の後、一臣君が口を開いた。
「あのさ「ああ!一臣!!」
何だろう?と思って聞く態勢に入ったら、何かを言おうとしたらしい一臣君の言葉を遮った声。
「……武?」
お前も同じ電車だったのかと驚いたような表情を浮かべた一臣君にタケと呼ばれた男の子が、もの凄く笑顔で近寄って来た。
「何気なくした車両移動で、まさか一臣が女子と親しげに話してるシーンに遭遇するなんて!」
説明文のような話し方をして、わざとらしく、くっ、と泣くフリをしたタケと呼ばれた人にあたしはポケーッとしてしまう。
何か元気な人だなぁ…
って言うか、あたし、
(親しげに見えたんだ?)
う、嬉しい…。