他校の君。【完】
クスクスと笑ってしまっていると、武君があたしの方に向き直った。
スギサキ タケ
「俺、杉崎 武って言います」
よろしく、と自己紹介してくれた武君にあたしも慌てて自己紹介。
タカシロ カスミ
「高城 香澄です。よろしくお願いします」
ペこりと頭を下げると、
「香澄ちゃんか。可愛いな。あ、香澄ちゃんって呼んでいい?俺は武でいいから」
前半は独り言のように小さく呟いて、後半はあたしに向かって聞かれて、あたしはコクリと頷いた。
「うん。武君」
心の中でさっき呼んだように武君と呼ぶと、何故かちょっと赤くなった武君。
どうしたのかと、不思議に思っていたら、
「ほ、ほら一臣も自己紹介しろって。ってもう既にした?」
武君が一臣君をバシッと叩いた。
「……武」
「…悪い」
睨みつけた一臣君にまた謝る武君。
そんな武君を確認した後、一臣君があたしの方に視線を移して、
スギサワ カズオミ
「杉沢 一臣。…まあ、よろしく」
と自己紹介をしてくれた。