他校の君。【完】
一臣君の名前は前から知ってる。
けれど、本人から自己紹介してもらえるなんて思っていなかったから、凄く嬉しい。
「えーと、一臣…君でいい?」
心では既に一臣君って呼んでいたけれど、一応確認。
「別に『君』は無くてもいい」
と言う事は、名前で呼ぶのは大丈夫らしい。
「で、俺は香澄って呼ぶから」
「……っ!」
不意打ちで名前を呼ばれて、思わずカッと顔を赤くさせてしまう。
だって、一臣君が香澄って、
香澄って呼んだ!!
好きな人に名前を呼ばれたあたしの心は凄く喜び始める。
「一臣!お前いきなり呼び捨ては馴れ馴れしいって!香澄ちゃん困ってんだろ」
嬉しくて固まってしまったあたしを武君は困っているととったみたい。
ありがとう、武君。
でも、あたしは一臣君になら名前を呼び捨てにされていいし、馴れ馴れしいと思わないよ?
「いや、香澄は照れてるだけだから」
あたしをチラリと見てから武君に視線を移した一臣君にさらに、顔を赤くしてしまう。
だって、あたしの気持ちが
何故か一臣君にバレバレだったから。