他校の君。【完】
ー…
………
準備が終わったあたしは玄関を出る前に鏡の前で全身チェック。
髪よーし。
服よーし。
顔は…何にも言えない。
(と、取り敢えず他よーし)
よしと頷いて玄関を出ようとドアノブに腕を伸ばしたら、あたしより少し早くガチャリとドアが開いて、お兄ちゃんが帰って来た。
「あ、お兄ちゃんお帰り」
「ただいま。どっか行くのか?」
あたしをマジマジと見ながら聞いてきたお兄ちゃんにあたしはコクリと頷く。
「雪と?」
「んーん?雪じゃないよ?」
幼なじみだけど、いつも一緒にいる訳じゃないし、雪は男の子。
休みに遊びに行く事なんてあんまり無い。
「ふーん。雪じゃないのか。あ、…彼氏出来た?」
「お兄ちゃん、お姉ちゃんと似たような事言ってる」
「そ?」
「そう」
コクリと頷くと、苦笑しながら『行ってらっしゃい』って言ってくれた。