他校の君。【完】
「じゃ、行くか」
「うん」
コクリと頷いて一臣君の隣に並ぶ。
一臣君と駅が一緒だから嬉しい事に皆との待ち合わせ場所まで一緒に行く事になった。
待ち合わせ場所まで、そんな時間がある訳じゃないけど、つかの間の二人きり。
それだけでもどうしようもないくらい幸せ。
「……ん」
「……え?」
嬉しくて一人顔を緩ませてしまっていると、一臣君があたしの方に手を差し延べた。
その手を見つめながらあたしは首を傾げる。
ー…何だろう?この手。
不思議に思っていると
「手、出せ」
と言われてあたしは左手を差し出した。
「違う、逆」
「???」
言わるまま、左手を引っ込めて、右手を差し出すと
「………っ」
ギュッと手を握られた。