他校の君。【完】


ー…
………

皆と合流するまでの少しの間で知る事が出来たのは

『一臣君は少しイジワルらしい』

と言うそれだけ。

でも、少し知れただけでも嬉しい。


「はよ!香澄ちゃん。…後、一臣」


電車を降りて駅を出てすぐの待ち合わせ場所まで歩いていたら

先に来ていたらしい武君が遠くの方なのに、あたし達に気付いて大きく手を振った。


「…張り切りすぎだろ。あいつ」


武君に苦笑する一臣君の表情に視線を奪われそうになる。

けれど、ここは我慢、我慢。


「って、ぁあああ!!」


笑顔でこっちに手を振っていた武君が突然叫んだから、思わずあたしはビクリとしてしまう。

(な、何?)

何で叫ばれたの?

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