他校の君。【完】

一臣君とは同じ駅だから乗る電車も一緒。

しかも、今、たまたま同じ車両。

怪しまれちゃうかもしれないと思いつつ、吊り革を軽く掴んで立ちながら楽し気に話している一臣君をチラチラと盗み見てしまう。


(本当格好イイなぁ)


ポケーッとしながら、休憩の時みたいに、また見惚れ始めてしまうと


「香澄ちゃんはどの子に恋してるのかなぁ?」


友達がニヤニヤしながら、あたしの視線の先を追った。


「……!!」


あたしはばれないように慌てて一臣君から視線を逸らしたけれど、


「ふーん。他校生かぁ」


あっさりとばれてしまった。

あ、でもでも一臣君の周りには他にもいるし、他校生ってバレても一臣君だって事はバレないかも。


「あの立ってる子?」

「……!!」


嘘。

なんであっさり分かっちゃうの!?

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