他校の君。【完】
思わせぶり
Side 一臣
何に乗るかを相談しながら歩く武達の後ろをついて行きながら、チラリと隣を見る。
隣にいるのは、香澄。
武は応援するとか言ったけど、俺は誰かと付き合いたいとか、彼女欲しいとか思ってない。
(そもそも武の言う『ツライ思い』なんてしてねぇよ)
みちる先輩に彼氏がいるのを知ってて好きになったんだから。
ってか、みちる先輩を知ったのも、うちの部長の彼女だからだし。
それに見てて分かる。
みちる先輩がどんだけ部長が好きかって。
好きだから、尚更分かる。
「一臣君?どうしたの?」
「…どうもしねぇ」
俺が何も言わないからか不思議に思ったらしい香澄が首を傾げた。
それと同時に香澄の髪がサラリと揺れる。
(…香澄か)
可愛いと思う。
反応だって面白い。
けど、香澄に感じる感情は恋とか、そんなんじゃなくて、
ただ単にからかいたい衝動にかられるって言った方が近い。
出会ったばっかだからかもしんないけど。
(本当可愛いとは思うんだけどな…)