他校の君。【完】
い、妹…。
そりゃあ、凄く仲がいい訳じゃないし、まだまだ出会ったばかりだけど、
(…妹)
さすがにそれは嫌。
好きな人に女の子として見て欲しいのは当たり前で。
「妹じゃないよ」
否定してみるけれど、
「分かってるけど、妹っぽいものは妹っぽい」
一臣君の中でのあたしは完全に恋愛対象に入ってないらしい。
そりゃあ、絶対に上手く行くなんて思ってないけど、
ちょっとぐらい、期待しちゃうのもあるんだよ?
だって、他校生である一臣君と話せるようになってすぐに、遊園地に一緒に来れて、手も繋げて、
運命とまでは行かなくても、縁ぐらいはあるかもしれないって思うでしょ?
残念ながら一臣君にとって『恋の縁』では無いみたいだけれど。
「………」
「あ、拗ねた」
「………」
一臣君からプイッと視線を逸らしたから見えないけれど、
隣で肩を奮わせて笑ってる気配がする。
「…香澄って可愛いな」
堪えきれなくなったのか、ははっと笑いながら聞こえた一臣君の言葉にまた嬉しくなって、視線を戻すと、
楽しそうに笑う一臣君の笑顔。
「………っ」
その笑顔に一瞬でヤられてしまって、
拗ねてるのか、嬉しいのか、照れてるのか、
あたしの心の中はごちゃまぜ。
この縁が、恋の縁だったらいいのに。
本気でそう思った。