他校の君。【完】
ー…
………
「ここ…?」
「ここ」
次に着いた場所。
今度は一臣君が入りたい場所。
ニコニコと笑う一臣君にあたしはうさぎをギュッと抱きしめて『ははっ』と苦笑い。
だって、
(お化け屋敷…)
「入ろ?」
「え?えーっと…」
入りたくないよ。
取り敢えず誤魔化してみようとニコッと笑ってみる。
そうしたら一臣君が輝くような笑顔を浮かべた。
「決まり」
「………」
嘘、決まっちゃった?
誤魔化すように笑ったのがダメだった?
しまった、と後悔し始める。
「あ、あの一臣君」
「ん?」
「一臣君一人で行くのは…」
どうかなぁ?
あたし、こう言うの苦手だし…
「香澄放って一人で入る訳には行かねーよ」
「だ、大丈夫だよ」
「大丈夫じゃねーよ」
入った方が大丈夫じゃないよ。