他校の君。【完】


ー…
………

「ここ…?」

「ここ」


次に着いた場所。

今度は一臣君が入りたい場所。

ニコニコと笑う一臣君にあたしはうさぎをギュッと抱きしめて『ははっ』と苦笑い。

だって、


(お化け屋敷…)


「入ろ?」

「え?えーっと…」


入りたくないよ。

取り敢えず誤魔化してみようとニコッと笑ってみる。

そうしたら一臣君が輝くような笑顔を浮かべた。


「決まり」

「………」


嘘、決まっちゃった?

誤魔化すように笑ったのがダメだった?

しまった、と後悔し始める。


「あ、あの一臣君」

「ん?」

「一臣君一人で行くのは…」


どうかなぁ?

あたし、こう言うの苦手だし…


「香澄放って一人で入る訳には行かねーよ」

「だ、大丈夫だよ」

「大丈夫じゃねーよ」


入った方が大丈夫じゃないよ。

< 79 / 299 >

この作品をシェア

pagetop