他校の君。【完】
Side 一臣
うさぎをギュッと抱きしめて、苦笑いを浮かべる香澄を見て、ついニヤついてしまいそうになる。
香澄は普通にお化け屋敷が恐いらしい。
けれど、嫌だとは言わない。
俺に気を使ってるんだとは分かるけど、
(嫌なら嫌って言えばいいのに)
…まぁ、嫌って言われても無理矢理連れて入るけど。
理由は連れて入ったら、面白そうだから。
実の所、香澄の反応が見たいだけで、個人的にはそこまでお化け屋敷に入りたい訳じゃない。
「入ろ?」
「や、あの…」
片方の手首を引っ張ると困ったような表情をした香澄。
その癖、やっぱり嫌だとは言わないからつい、からかいたくなる。
だから、俺はそのまま香澄とお化け屋敷に入った。